Kを発音したくなったり、ならなかったりする。

knowの中には今が、knightの中には夜が含まれています。そんなことより、私が好きな人はローマ字にした際Kで始まる人が多いんです(あるいは多いknです?)。そうそう、傘もKでした。" Kといえばカフカの「城」の主人公が・・・" と口にしがちだった多感な頃よりは私も大人になった、あるいは自由になったと思いたい一心で開設しています。同じことしか書けないなら同じことを増やそうと思います。

飛行機は落ちない!

一泊二日の移動での帰りの機内の着陸直前、めちゃくちゃ得をすることがあった。

目の前の座席は、奇声を発し泣き叫ぶ幼児二人を抱えた親子4人だったのだが、寛容な機内の雰囲気は終始崩れることはなかったものの、逆にこちらが心配になるくらい、ある一線を越えた、大人向けのモスキート音とでも言われかねないトーンの声が上がった時、それまでの叱る感じからなだめる感じ、周囲に対する申し訳なさ以上に周囲に潰されそうな弱々しささえ携えた態度に父母が変わることが数回あった。それは社会的弱者という点で、宛ら父母の方が庇護すべき子供っぽい状態にあったとも言える。これは被害者妄想でもなんでもなく、まるで帯電だとか日中の熱を放熱しきれていない夜のアスファルトだとかにも似た、衆人環視を無意識にも意識せざるを得ない社会だとか日常生活が作用し身に付けさせた所作ではないのかと思った。

そんな折、飛行も一時間十数分を越え、いよいよ着陸となった時、子供の一人が、それまでとはうって変わり、まるで一気に10歳くらい加齢したかのように今回一番文法的に正しい言葉「落ちる!飛行機が(泣)落ちるーっ!」を叫び始めた。現代詩にも使われそうなその一文に父親は怯みはしなかったが、どこか悲愴さを帯びた高い声で、「飛行機は落ちない!」と叫んだ。何かの開会式閉会式で聞かれる宣言のようで、自分の中に意味の分からない笑いが溢れてきた。そして、その一部は恥ずかしながら若干涙っぽいものにもなっていった。後付けの分析や理屈は省略するが、この便に乗って実にラッキーだった。便利って、こういう類い、すなわち、特定の便で利(メリット)を得る、って構図もあるなと思うことにした。