Kを発音したくなったり、ならなかったりする。

knowの中には今が、knightの中には夜が含まれています。そんなことより、私が好きな人はローマ字にした際Kで始まる人が多いんです(あるいは多いknです?)。そうそう、傘もKでした。" Kといえばカフカの「城」の主人公が・・・" と口にしがちだった多感な頃よりは私も大人になった、あるいは自由になったと思いたい一心で開設しています。同じことしか書けないなら同じことを増やそうと思います。

Notを

 冷蔵庫から切らすことなく定期的に購入しているわけではないが、「そういえば食べてないな、今日は買わなきゃ!」とはっとして購入しているものに、パック入りの納豆がある。振り返ってみると、月に2回程度は買っているだろうか。特に絶対これという商品もないが、一度も購入したことがない商品の方が多い。気付けば随分商品の種類が増えたように思う。
 気付いたといえば、先日から気になっていることがあり、書き始めた。パックの成分表示で、従来だと、もう何十年もずっと「大豆(遺伝子組み換えでない)」とあったところに、気付けばこの頃は「大豆(遺伝子組み換え混入防止のため分別管理済み)」のような表記が増えており、意識して昨夜見たところ、趨勢になっていた。一商品だけ前者があったので、それを購入して、一パックを昨夜食べている。
 本当のところは分からない。これに行き着く一方で、前者のはっきりとした否定形がもたらす安心感のような気持ちと比べると、後者にはもやもや感や不安感を覚えていた。「そんな大袈裟な!」と考えようとしたが、有害か無害かという答えが出せない議論とは別に、この表現の違いについては素通りすべきでないと思った。
 はっきり否定してくれるのを待っているのは否めない。生業においても、様々なやり取りの中で、自分が否定する立場になったり否定を待ち焦がれる立場になったりしている。そして、その対価に好印象や安堵といった対価を得ることになる。こう書くと、待ち焦がれる立場だけではなく否定する立場であっても受け身だなと思う。なんだか、当初は嫌だった「分別管理済み」の表記に対し、見違えた一面を見たような気にもなる。
 小学校か中学校の頃、なけなしの小銭で、袋入りのスナック菓子を買った時、「〇〇油脂工業株式会社」のような表記を見て、「食べ物なのに、工業?!」と違和感を覚えただけでなく、まるで石油を食べている気になって、スナックに向かう手が止まったことを思い出した。そういう表記があろうがなかろうが、食品の商品はとっくに工業製品であることの方が趨勢というものだろう。工業製品と書くと、サプライチェーングローバリズムといったカタカナ英語を連鎖的に思い浮かべる。パック入りの納豆も、世界規模で緻密に計画され実行された怪しい動きの支配下にあるのかもしれない。これを書き始める前から駄洒落を思い付いていたので書き残しておくが、それでも否定してほしい気持ちや否定したい気持ちは残り続ける。納豆だけに、もっと「Notを」。この「を」も昔は今の「お」だったように、趨勢だった表記もいつの間にか希少なものに変わっていく。