自己顕示欲
みみっちいことだと思えば尚更のこと、記録すべきと書き始める。マウスパッドを相当久しぶりに購入した。マウスは相変わらず使っているのに、マウスパッドは使わなくなっている人も多いなと改めて思いながら、反応の鈍くなったマウスポインタに、マウスパッドが無いことが一因かとネットで探し始めたら、透明のフィルムの間にポストカード等を挟むことが出来るタイプを見付けたのがきっかけだった。このフィルムの中に、お気に入りのバンドのポストカードを挟もうと思ったのだ。それで、どこで使用するかだが、社内を想定している。つまり、そこには、自己顕示欲が相当含まれている。
部屋や社内の自席や自分の持ち物を見渡せば、自己顕示欲で溢れかえっている。宛らスギ花粉に負けず劣らずといった塩梅だ。ぱっと顔を右に向けただけで、ロックテイストのワッペンが縫い付けられたコートが目に入る。Zoomの会議で映し出される自分の部屋自体、小綺麗なだけに留まらず、ポスターや本棚に自分をそういう嗜好があるのだと捉えて欲しいという声を上げているかのようなタイトルの背表紙が並んでいる。自己埋没欲というか自死とは全く関係がない意味での自己抹消欲といったものには、とんと向かっていないことが分かる。
目に見える商品や素材やレイアウトばかりではない。態度もまた、自己顕示欲によって様変わりする典型的なものだ。顧客との打ち合わせで、相手に「自分はちゃんと聞いていますよ」と伝えたいばかりに、ごく自然な態度を装って、大袈裟にはならないように、されど努めて頷いたり、同意を示す「はー」「あー」「なるほどですねー」「うーん」を織り交ぜる光景は日常そのものとなってしまっている。私は違うと言いたかったが、そういうことをやってしまっている時がある。
また祖母の登場だが、見事なまでにそういう自己顕示欲の類はなかったものだと思い返すことができる。作り笑いがあったとしたら、それは自分が好かれたかったり、よく思われたいからじゃない、相手を楽にしたいからでしかなかったと断言できる。こういう祖母についての記述も、自己顕示欲なのかと思いながら、書き残している。