Kを発音したくなったり、ならなかったりする。

knowの中には今が、knightの中には夜が含まれています。そんなことより、私が好きな人はローマ字にした際Kで始まる人が多いんです(あるいは多いknです?)。そうそう、傘もKでした。" Kといえばカフカの「城」の主人公が・・・" と口にしがちだった多感な頃よりは私も大人になった、あるいは自由になったと思いたい一心で開設しています。同じことしか書けないなら同じことを増やそうと思います。

バリエーション

 昼過ぎに起きたら、雨空だった。出掛けるのを後回しにして、まだ先の外出の準備をしていた。その準備には思い付くだけでも様々なものがあるのだが、今日は夕方までパスワードの整備(本当に合っているのか?の確認と変更)で終わってしまった。旅先でクレジットカードや現金だけでなくスマホまで盗まれてしまった場合、誰かの助けを借りるにしても、まずインターネットに繋がらなければ、どうしようもなくなる。無償での機器と接続環境の提供を、身寄りのない土地でどのように確実に可能とするのか? ラストワンマイルのような問いへの答えは出ていないまま、接続できたという前提でパスワードを整備していたことに気付いた。
 どこか、いや、はっきりと、そういう人が現れるだろう、そういう人と会うことができるだろうという楽観、他力本願の気持ちがある。こういう気持ちを即座に破壊することができるとしたら、それは生命的には緊急事態を意味する確度も高いだろう。出掛ける資格がないといえばないのだが、出掛けたい気持ちも厚かましいことに残ったままだ。 「そもそもが、今日外出もできないのに数週間先の外出も何もあるか!」と突っ込む自分も現れた。「そうだな、外出しよう、雨だろうが関係ない」と返事が浮かんで、間もなく特に行きたい場所もないまま外出することに決めた。
 今すぐ外出としなかったのは、未練がましくも、やはり、旅先にて金銭面でもネット面でも助けてくれる人が現れないまま無一文状態となった場合どうするか?を考えるべきと思ったからだ。緊急連絡先やパスワードでのログイン先を沢山用意する前に、この自力での打開方法を一つでも多く用意することの方が大切だと思った。でも、その最初の一つすら覚束ない。正確には、大道芸人のように、路上で大袈裟なジェスチャーをしながら、紙や板を何とかして拾ってきて、最悪泥や土しかなかったとしても、それをインク代わりに、日本語や英語の二種類だけだとしても、メッセージを表示する、そんなことなら浮かんでいた。そして、書きながら思った。このメッセージの種類もまた、「助けて」「Save ME」以外のものをなるべく多く揃えた方がいいはずだと。
 最適化すること、絞り込むことが良いことだと、それしか考えてこなかったわけではないが、そういう考えに偏りがちだったのかもしれない。ずれていようが、バリエーションを持つことが新鮮に思えてきた。外出かこのまま在宅か、はたまたそれ以外となると、消滅? いやいや、そんなことこそ消滅させたいし、どうしても避けられないというのなら、先延ばししたい。死という選択肢はいつだってあるのだから実質選択肢にはなり得ないと思いたい。
 ここまで書いて外出し、自分の中では珍しいという意味で異常な場所、成城石井に立ち寄り帰宅後、再び続きを書いている。消滅や実質といえば、今日は昼過ぎに目覚めてすぐ、夢であって良かったと思うことがあった。夢の中で、自他共に認める雰囲気で、私は会社を解雇となっていたのだった。解雇となろうが消滅するわけではないのに、実質消滅と捉えていることが分かった。解雇後のバリエーションはあるのか?と、先程行きの道中で自問したが、その少なさ、具体性のなさにはっとするのみだった。でも、バリエーションが多いのも気持ちが悪い気もする。