Kを発音したくなったり、ならなかったりする。

knowの中には今が、knightの中には夜が含まれています。そんなことより、私が好きな人はローマ字にした際Kで始まる人が多いんです(あるいは多いknです?)。そうそう、傘もKでした。" Kといえばカフカの「城」の主人公が・・・" と口にしがちだった多感な頃よりは私も大人になった、あるいは自由になったと思いたい一心で開設しています。同じことしか書けないなら同じことを増やそうと思います。

傘があるのにない

 ビニール傘を空港のゴミ箱に捨てた。出掛けに雨が降っていた。折り畳み傘が壊れていて、ビニール傘を手にした。手にしながら、捨てることになるなとは思っていた。

 昨晩、前乗りして簡易仮眠施設にいる時、傘を側に置いていた。施設に引き取ってもらえないか?とは思ったが、口にしないまま後払いの会計を済ませた。そして、早朝の搭乗手続きを済ませて、はっきり、言えばよかったと思った。「こういう引き取りサービスが空港にあればいいのに」という他人のせいにする考えが続いて浮かんだ。

 捨てるという言い方に抵抗を覚えるくらいなら、事前に用意周到な計画を立てて準備したらいいではないか?と突っ込みながら、投函したという言い方に変えようとしたことに、狡さの根深さを見た気になった。これも、「根深さを見た」や「感じた」に書こうとしていた。雨のように、迷いという説明の傘に隠れた、原因を自分以外の外部に求める他者への依存がある。

 都合の良い解釈ならまだあった。ゴミ箱には先客のように傘が捨てられていた。区分は「その他のゴミ」だった。それを見て、捨てやすくなったのではなかったが、暫く逡巡して「リサイクルされるかもしれないな」と頭の中で口にして捨てた。保安検査場では、複数のカゴに入ったビニール傘があった。