Kを発音したくなったり、ならなかったりする。

knowの中には今が、knightの中には夜が含まれています。そんなことより、私が好きな人はローマ字にした際Kで始まる人が多いんです(あるいは多いknです?)。そうそう、傘もKでした。" Kといえばカフカの「城」の主人公が・・・" と口にしがちだった多感な頃よりは私も大人になった、あるいは自由になったと思いたい一心で開設しています。同じことしか書けないなら同じことを増やそうと思います。

帰国の翌日

 鳴り響いていたはずの目覚まし時計の音が、軽やかな音楽のように聞こえていた気がする。昨夜2時くらいには眠ったはずだが、9時に一旦起き上がるも、なんだか疲れているかもと意図的に二度寝をし、16時半に起きた。目覚ましは7時台だった。起きてすぐ、いつものように洗濯機を回し、ガスコンロで湯を沸かす。なんだか面白そうだし食欲もそそる気がしたので、旅行先のメニューを真似て簡単な朝食を用意した。コーヒーは大きなカップに入れる方がよりそれらしかったが、普段使っているいつものカップにした。満足だった。依存するものは常に身の回りに溢れているものだと思った。
 起きてすぐ気が付いていたが、窓を開けると昨夜同様、雨だった。徒歩でPCR検査会場へと向かった。昨夜、申し込んだ際、今日の検査を最後に会場が閉鎖となるという。どこか寂しくもあった。簡単に寂しくなるものだと思った。いつものように、手際良く検査を終えると、検査会場をスマホで撮影してその場を去った。続いて、明日から出社ということもあり、オフィスに立ち寄る。一人、先客がいたが、朝から仕事をしていたような、衣服の乱れと決して嫌ではない類の疲れた空気が漂っていた。
 オフィスに入って程なく、1名以外は誰もいない空間を見て、随分広いものだなと思った。3年前、異動してきた際、なんて小さなオフィスだろうと思ったのに、その逆のことを思っているのが可笑しかった。もしかしたら、この3年の間に増えた社員数とそれに伴うデスクや椅子の増加が、その広さを担保しているのか?と思った。でもやはり、大きな要因は、わずか1週間程度にせよ、異国を行き来したということがあるのだろう。
 少しばかり仕事をして、再び雨の路上に出た。地面の標示や道路の標識は当然ながら日本語だが、異国で見たそれらの中の文字が日本語に翻訳されているような錯覚を覚えた。厳密には、同じ標示や標識でもないのに、これまた簡単に影響を受けるものだと思った。でも悪い気はしなかった。明日から、しばらくずっと国内での普段の生活が続く。もっとも、異国を行き来した先日までの時間も普段の生活のはずだ。ただ、国内での時間より、いくら受動的な姿勢で過ごしていても、帰国後には先程挙げたような異なる印象をもたらしてくれる。悪いことではないが、安易ではある。国内でも、これまでと異なる印象を獲得しながら過ごすなら、それもまた旅だと考えたい。明日からも旅を続けることになる。気を付けながらも、楽しみたい。